ソーシャル・プロジェクトマネジメントが必要(その1)
◆ソーシャル・プロジェクトのプロジェクトとは
“ソーシャル・プロジェクト”という名称は一般的に定義され普及している名称ではありませんが、PMI日本支部のソーシャル・プロジェクトマネジメント研究会の使用例を参考にすれば以下のようになります。
「社会的な課題を解決するための活動を“ソーシャル活動=ソーシャル・プロジェクト”と呼ぶ。その活動は例えば、復興支援、環境保全・温暖化防止、地域活性化・まちづくり、人材育成・自立支援、教育・子育て、防災対策、福祉・保健・医療 などです。」
例として挙げた諸活動は、PMBOKガイドの定義に基づいたプロジェクトなのでしょうか。否です。
PMIのPMBOKガイドの定義では、
「プロジェクトとは、独自の製品、サービス、所産を創造するために実施される有期性の業務である。」とされています。さらに、
「プログラムとは、プロジェクトを個々にマネジメントすることでは得られない成果価値とコントロールを実現するために、調和のとれた方法でマネジメントされる相互に関連するプロジェクトのグループである。」とされています。
例として挙げた諸活動には、独自性や有期性がある活動もあれば、ない活動もあります。また、企画・計画段階の活動も含まれます。
単一の活動で成果物やサービスを作り上げるだけでは問題の解決にならないことが多く、A活動を他のB活動や定常業務と組み合わせ、全体の調和をとることで、バラバラに活動を実行したのでは実現できないベネフィットを創出していく活動もあります。
こうしてみると、これらはプロジェクトではなく、定義に従えばプログラムとして捉える必要があります。
例えば、
・ マンハッタン計画(Manhattan Project)
・ ヒトゲノム計画(Human Genome Project)
・ アポロ計画(Project Apollo)
これらは日本語では計画と訳し、原文はProjectですが、この壮大な活動は、定義に従えばプロジェクトよりプログラムが適切、と同様な意味合です。
注)上記の計画はPMIのPMBOKガイドの定義(1998年)以前の話なので、Projectが定義に合致しているか否かの議論は厳密には無意味です。
しかし、定義の意味でのプログラムという名称は、ビジネス・マネジメント分野以外では一般的でないし、プロジェクトのほうが広い活動分野で用いられています。
その意味から、ソーシャルな活動をソーシャル・プロジェクトと言って誤解を招くものではありません。
続く
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