PMBOKガイドとロジカルシンキングのフレームワーク
PMBOKガイドはロジカルシンキングのフレームワークの宝庫である。
フレームワークとは、情報分析、問題発見や、問題解決や戦略を立案する際に利用する「思考の枠」または「視点の置き方」のことである。
フレームワークというのは、情報を整理するためだけのものではない。整理した情報からどんなことが言えるのか、何をしていくべきなのかを導くことに役立つものなのだ。
フレームワークのメリットは以下が挙げられよう。
・ 「漏れなく、重複なく」で全体から物事を把握できる。
・ 思考の結果を人に説明しやすい。
・職場や取引先とのコミュニケーションを円滑にできる。
・思考のスピードアップができる。
ビジネス現場で使用される代表的なフレームワークの幾つかを挙げる。
・ 戦略の3C consumer / companmy / competitor
・ マーケティングの4P product / place / promotion / price
・ PDCAサイクル plan / do / check / act
・ バリューチェーン 主活動(購買物流、製造、出荷物流、販売マケティング、サービス)
支援活動(全般管理、人事労務管理、技術開発、調達活動)
プロジェクトマネジメントを実施するにあたり、PMBOKガイドを頼りにするということは、フレームワークを利用して、メリットを享受することなのである。
例を挙げよう。
例1 あるプロジェクトのリスクを特定しようとプロジェクトメンバー数人が集まった。
話を進めていくと、どうもこれから起こりそうな不安要素しか挙がってこない。いわゆる”マイナスのリスク”とか”脅威”とかである。
PMBOKガイドでは、リスクにはマイナスのリスク(脅威)、プラスのリスク(好機)がある。
メンバーは一般に用いられる意味でリスクを特定している。つまり、物事の反面しか見ていないことになる。
これは、ロジカルシンキングの重要な技術であるMECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive 読み方「ミーシー」とか「ミッシー」=「各事柄間に重なりがなく、全体として漏れがない」)な状態になっていないのである。
例えば、「人」をMECEに分けると「男」と「女」に分けられる。
PMBOKガイドの、リスクの種類のフレームワークは、マイナスのリスク(脅威)、プラスのリスク(好機)となるのだ。
このことをチョットメンバーに説明すると、リスク特定に関して話が熱を帯びてきた。
例2 かなりリスクが特定されたので、優先順位の高いものから対策を挙げてみることにした。マイナスのリスクに対しては、リスクを起こらないようにするあるいは影響を少なくする対策案がでてくる。プラスのリスクに対しては、リスクを高めようとする対策しか出てこない。行き詰ってしまった。時間ばかりが過ぎてゆく。
PMBOKガイドのリスク対応計画プロセスには、以下の戦略があると書かれている。
マイナスのリスクもしくは脅威に対する戦略
・ 回避/転嫁/軽減/受容
プラスのリスクもしくは好機に対する戦略
・ 活用/共有/強化/受容
これは、リスク対応計画における対応戦略のフレームワークである。「漏れなく、重複なく」MECEでしょう。
検討会の時間が残り少なくなってきたので、メンバーにこの戦略概略を伝え、詳細内容は各自インターネット検索による学習とした。
はたして、次回の検討会では、1つのリスクに対しても幾つかの戦略が出てきて議論が多いに盛り上がった。
PMBOKガイドはロジカルシンキングのフレームワークの宝庫である。
以上
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